渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会
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渡良瀬遊水池の自然

昆虫

湿地性昆虫の貴重種

 渡良瀬遊水池は多くがヨシ原で、昆虫の種類数1700種は決して多いとはいえません。しかし、貴重な湿地性昆虫が数多く生息しています。しかも、貴重な種が、種類によっては極めて個体数の多いものがあります。例えば、ムモンチャイロテントウ、スゲノハラジロヒメゾウムシ(図1)、ババヒゲヒメゾウムシ、クロズヒョウタンナガカメムシ、キイロテントウゴミムシダマシ、ムモンミズカメムシ、ジュンサイハムシ(図2)、オカボトビムシ(図3)、オオケブカチョッキリ、ズグロメダカハネカクシ、チョウセンマルクビゴミムシなどです。貴重種ではありませんが、アシナガコガネが極めて多い。
 貴重種のなかには、氷期の遺存種と考えられるものもあります。ワタラセハンミョウモドキ(図4)、コウノハバチ(図5)、スゲノハラジロヒメゾウムシ、日本からは渡良瀬遊水池が初めての記録となる、甲虫目シベリアユミアシケシキスイ(図6)などが代表的なものと考えられます。
 同じく貴重種の中に、栃木県では渡良瀬遊水池だけで知られるものも多い。オオモノサシトンボ、アオモンイトトンボ、ムモンチャイロテントウ、カジムラヒメナガゴミムシ、ワタラセハンミョウモドキなどです。なかにはカノウニクバエのように、日本からは初めて記録されたものもあります。
図1 スゲノハラジロヒメゾウムシ   図2 ジュンサイハムシ
   
 
図3 オカボトビムシ   図4 ワタラセハンミョウモドキ
   
 
図5 コウノハバチ   図6 シベリアユミアシケシキスイ
 一方、これらの重要昆虫に混じり、攪乱地を住み場所とする昆虫も多い。外来種がいち早く住みつくのも、遊水池の特徴です。最近の例では、オオタコゾウムシ、コルリアトキリゴミムシ(図8)、ブタクサケブカハムシ、スジハサミムシモドキ(図7)などが挙げられます。スジハサミムシモドキは、1998年に渡良瀬遊水池で初めて確認され、現在ではアシ原に非常に多く見られます。本種のもともとの生息地は台湾以南で、帰化昆虫と考えられています。
図7 スジハサミムシモドキ   図8 コルリアトキリゴミムシ

 渡良瀬遊水池の昆虫を極言すれば、貴重種か、極めて普通な虫のどちらか、というような言い方もできます。試算によれば、渡良瀬遊水池から記録された昆虫の約1割は、貴重昆虫となります。

地域の名前のついた虫

 この地域の名前を冠した虫がいます。それらはワタラセハンミョウモドキ、ワタラセサビイロモンキハネカクシ、ワタラセツブゲンゴロウ、ワタラセトックリゴミムシ(未記載種で仮称)、ワタラセミズギワアリモドキ(図9)、渡良瀬遊水池と接する板倉町の地名を冠し渡良瀬遊水池にもいるイタクラキノメイガです。
図9 ワタラセミズギワアリモドキ
エサキアメンボ   ムモンチャイロテントウ

昆虫類の保護

 なお、数年前までは、たくさん見られた種が激減しているなど、渡良瀬遊水池の昆虫相に、近年著しい変化が起こっています。その原因を探り、手遅れにならないうちに積極的方策を立てることが急務であるように思われます。

国のレッドデータ昆虫で渡良瀬遊水池から記録のあるもの(23種)
カテゴリー 渡良瀬遊水池から記録のある該当種
絶滅危惧T類(CR+EN) 8種  
近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種
オオモノサシトンボ、ベッコウトンボ、シルビアシジミ、コバネアオイトトンボ、オオキトンボ、チビアオゴミムシ、アオヘリアオゴミムシ、オオイチモンジシマゲンゴロウ
絶滅危惧U類(VU) 5種   
絶滅の危険が増大している種
ベニイトトンボ、タガメ、ワタラセハンミョウモドキ、コハンミョウモドキ、セスジガムシ
準絶滅危惧(NT) 9種
現時点では絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
ババアメンボ、エサキアメンボ、シロヘリツチカメムシ、ホソハンミョウ、トダセスジゲンゴロウ、ヤマトモンシデムシ、ギンイチモンジセセリ、オビヒメコメツキモドキ、コウノハバチ
情報不足(DD) 1種     
評価するだけの情報が不足している種
ヤマトセンブリ
(大川 秀雄)
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