渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会
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渡良瀬遊水池の自然

野鳥・ほ乳類・魚

渡良瀬遊水池の野鳥

 渡良瀬遊水池の野鳥の記録は、230種に及びます。これは、栃木県の全記録鳥種の70%に当たり、ひとつの地域、しかも内陸で、これだけの種数の記録のある例は、全国的に見てもまれです。同時にその個体数の多さにも、注目すべきです。
1. ヨシ原やヤナギの林で繁殖する野鳥――サギ・クイナ・ヨシキリなど
 初夏、遊水池のヨシ原は、様々な野鳥の囀りでにぎやかになります。オオヨシキリ、コヨシキリ、セッカ、ウグイス、カッコウ、キジ、ウズラ、ヨシゴイ、ササゴイ、バン、カイツブリ、クイナなど、ここで繁殖する野鳥は多種多様です。
クイナ   ササゴイ   コヨシキリ
2. 内陸の水辺を渡る――シギ・チドリなど
 春と秋、沼沢地にはシギやチドリの仲間が渡来し、しばし翼を休めていきます。渡来する主なものは、キアシシギ、アオアシシギ、ツルシギ、タカブシギ、クサシギ、キョウジョシギ、ハマシギ、タシギ、ムナグロなどですが、セイタカシギ(絶滅危惧1B類)、エリマキシギ、オジロトウネンといった日本では数の少ない種を含め、約40種が記録されています。
 なお、コチドリ、イルカチドリ、シロチドリ、イソシギ、カモメの仲間のコアジアシ(絶滅危惧2類)が繁殖しています。
ツルシギ
3. 水鳥――ガン・カモ類、カイツブリ類、カワウなど
 秋になると、谷中湖を含めた遊水池全域に、カモ類の大群が渡ってきます。コガモ、マガモ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ミコアイサなど、留鳥のカルガモを加えてカモ類の総数は1万羽を超えます。
マガンの大群(撮影 堀内洋助)   ハシビロガモ
 カイツブリ類ではカイツブリが繁殖し、カンムリカイツブリ(絶滅の恐れのある地域個体群)他2種が越冬しています。マガン(準絶滅危惧)、コハクチョウも時折姿を見せます。2003年には、5羽のコクガン(絶滅危惧2類)も飛来しました。
 カワウは飛来当初、冬季に東京・埼玉方面から朝夕往復しましたが、いまは遊水池内にねぐらを持つようになっています。
4. 猛禽類――ワシタカ・ハヤブサ・フクロウ類
 数多い渡良瀬遊水池の野鳥の中でも特に目を引くのは、ワシタカ類、ハヤブサ類、フクロウ類など猛禽類の種数、個体数の多さでしょう。いままでの確認によれば、ワシタカ科15種、ハヤブサ科4種、フクロウ科5種、合計24種に及んでいます。2005年2月の日本野鳥の会合同渡良瀬遊水池越冬ワシタカ調査では、9種74羽の生息が確認されています。
 遊水池で繁殖しているのは、サシバ(絶滅危惧U類)とオオタカ(準絶滅危惧)、チョウゲンボウ、トラフズクです。
 なお、トビは周年見られます。
 越冬のために毎年渡来し、一定期間を遊水池で過ごしていくものに、ミサゴ(準絶滅危惧)、ケアシノスリ、ノスリ、ハイイロチュウヒ、チュウヒ(絶滅危惧U類)、ハイタカ(準絶滅危惧)、ハヤブサ(絶滅危惧U類)、コチョウゲンボウ、コミミズクがあげられます。
トラフズク   ハイイロチュウヒ
 
 
チョウゲンボウ
(メスにエサを渡すオス)
  オオタカ
5.「渡りの重要拠点」として

 夏の間、オオヨシキリやコヨシキリのさえずりでにぎわったヨシ原に、秋は、北から南へ渡る途中のさまざまな小鳥たちが立ち寄って行きます。特にツバメやショウドウツバメなどのツバメ類は、8月から9月にかけておびただしい数が集まり、夕暮れのヨシ原上空を乱舞する光景は圧巻です。
 さらに季節が進むと、北海道以北で繁殖するオオジュリンが、遊水池全域のヨシ原に多数渡来。ほかにもホオジロ科やアトリ科の種を中心に、厳しい冬を遊水池のヨシ原で過ごす鳥はたくさんいます。
 春から初夏にかけても、渡り途中に立ち寄る野鳥は多く、時にはサンコウチョウのように森の夏鳥も観察されたりします。
 なお渡良瀬遊水池では、長年鳥類の標識調査が実施され、「東日本内陸の渡りの重要拠点」であることを証明する、貴重なデータが得られています。

(写真提供は日向野哲夫氏、一色安義氏)
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渡良瀬遊水池の哺乳類

 渡良瀬遊水池の哺乳類については、まとまった文献がなく、確たる調査もおこなわれていません。しかし、哺乳類にとっても、この遊水池がかけがえのない恵まれた生息地であることに変わりはないのです。
 アズマモグラがいて、モグラ塚がまとまっている堤防斜面の上部には、きまってノスリが待ち伏せています。
 ここのノウサギは、キュウシュウノウサギで、冬季に白化することはありません。
 また、アカネズミ、ハタネズミ、カヤネズミなど、巣穴の多さから、ネズミの数の多さがうかがえます。多数の猛禽類や、食肉目のキツネやイタチは、これらの餌動物を求めて、遊水池に生息あるいは渡来してくるでしょう。そのほかに、タヌキやコウモリもいます。
キツネ
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渡良瀬遊水池の魚

  『藤岡町史・資料編』によると、渡良瀬遊水池で今までに確認された魚は48種、そのうち、現在も生息しているのは37種です。
 そのうち、レッドデータブックに掲載されているのは、絶滅危惧TA類のゼニタナゴ、ホンモロコ、絶滅危惧TB類のタナゴ、ゲンゴロウブナ、アカヒレタビラ、ワタカ、ジュズカケハゼ(関東地方)、及び絶滅危惧U類のハス、ギバチ、メダカ(北日本集団)と、準絶滅危惧のキンブナ、ヤリタナゴ、カワヒガイ、スゴモロコの14種です。しかしワタカ、ハス、ギバチ、メダカ、カワヒガイ、スゴモロコの6種を除く8種は、すでに遊水池から姿を消しています。
 同『藤岡町史』の「渡良瀬遊水池の魚 渡良瀬川および遊水池付近の魚の変遷」をみると、以前生息していたもののうち前述の絶滅危惧8種のほか、ゼニタナゴ、クルメサヨリ、シラウオ、チョウセンブナが姿を消し、代わって、ブラックバス、ブルーギルなどの外来種、ワタカ、シゴモロコなどの移入種が加わりました。また、タナゴ類とともにキンブナまでも姿を消してしまったのは、いかにも寂しいことです。
 谷中湖のアユは、春の稚魚の遡上期、または秋の仔アユの流下時に、谷中湖の機場の取水とともに取り込まれたものと思われます。取り込まれたアユは、十分な付着藻類がなく、また夏期の水温上昇もあって、成熟前には消滅します。
 渡良瀬遊水池の魚は、谷中村時代よりずっと以前から、それぞれの時代の環境の変化に適応して生きながらえてきました。赤麻沼を初めとする幾つもの池沼が消滅し、谷中湖の造成に加えて外来種、移入種が入り込み、遊水池の魚はメチャクチャにされてしまっています。

(一色安義)

ヤリタナゴ
メダカ
アユ
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