渡良瀬遊水池を守る利根川流域住民協議会
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ストップ!遊水池の開発
エコミュージアムプランへの取組み
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エコミュージアム・プランへの取り組み

なぜエコミュージアム・プランに取組むのか

 私たち住民協議会は、1996年頃からエコミュージアム・プランの作成作業に取り組んできました。その目的は、ほかならぬ、渡良瀬遊水池のかけがえのない自然を守り続けることにあります。渡良瀬遊水池ではいままで、第一貯水池の建設、ゴルフ場の造成などの開発工事が次々と行われてきました。これからも、様々な開発計画が浮上してくることが予想されます。例えば、第二貯水池建設計画は2002年に中止が決定しましたが、いまだにその計画の一部を復活して、渡良瀬遊水池の治水容量を増やす動きがあります。

それらの開発計画の浮上を永久に阻止し、渡良瀬遊水池のかけがえのない自然を残していくためには、自然を守り続けることが可能な将来像を提案して、その実現を図る運動を展開することが必要です。この将来像がエコミュージアム・プランなのです。

私たちがイメージするエコミュージアム・プランは、次のようなものです。

  1. 遊水池のかけがえのない自然を保全しつつ、より豊かな湿地の再生をはかり、生物の多様性を高めるものであること
  2. 遊水池を野外自然博物館とし、人々が自然環境と歴史を学ぶことが可能な場になること
  3. 野外自然博物館の利用拠点として、周辺市町のまち起こしをはかることができること
 自然に手を加えることは、本来は行うべきことではありません。どうしても手を加えなければならないとすれば、手を加えることへの明確な理念と根拠、その結果についての明確な予測が立つ場合のみ、許されることです。私たちは、自然への畏敬の念を抱き、手を加えることに十分に慎重でなければなりません。

具体的には、次の三つの原則に基づいて実施することが必要です。

  1. 既存の自然について十分な調査を行い、失われる動物、植物がないようにプランの見直しを絶えず行う。
  2. 少しずつ段階的に手を加え、その影響を絶えず見守り、予想外の影響が出た場合は直ちに見直しを行う。
  3. 大規模な土木機械を使わず、最小限の機械力で、ボランティアの参加も得て進める。
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より豊かな自然があったころの遊水池、原風景の再現を!

 現在の遊水池は、数多くの動植物の宝庫ですが、30年ほど前までの遊水池にはさらに豊かな自然がありました。見渡すかぎりのヨシ原に小さい沼が点在し、湿地特有の動物・植物が息づいていたのです。今よりもっと多くの種類の野鳥が生息し、植物が生育していた記録が残っています。
 見渡す限りのヨシ原、これが遊水池の原風景とされていますが、その風景が形成されたのはそう昔のことではありません。古老の話によれば、昭和20年より前の遊水池には大きい沼がいくつもあって、漁業が重要な地元産業であったそうです。沼が埋まってヨシが一面に生育し、ヨシ刈りが盛んに行われるようになるのは、昭和20年代後半からのことです。
 しかし、昭和40年代後半から、遊水池の状況は徐々に変わってきました。昭和45年、47年に第一、第二調節池の越流堤、囲ぎょう堤が完成し、その後の工事も加わって、遊水池の湿地特有の自然が次第に後退していきました。
 今より豊かな自然があった昭和20年代〜30年代の原風景の再現を念頭において、私たちはエコミュージアム・プランの案を作成しました。
第二調節池を北側より望む〜バンの沼、マガンの沼
(イメージ図)
イラスト 大島英太郎
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エコミュージアム・プランの案−第二調節池を手はじめに

 渡良瀬遊水池は第一調節池、第二調節池、第三調節池に分かれています。三つの調節池を次のように位置づけ、第二調節池を手はじめにプランの案を作成しました。
第一調節池
 谷中湖やゴルフ場などがつくられ、すでに人の手が加えられているので、残された自然を保全しつつ、多くの人が楽しめる場と位置づける。また、谷中湖は自然に乏しい空間になっているので、多くの生物を育む湖にするための再生を行う。
イメージ図(シギチドリの浅瀬)
イラスト 大島英太郎
第二調節池
 より豊かな自然があった頃の原風景の再現をはかる。原則としてサンクチュアリとして、一般来訪者が立ち入れる範囲を制限する。
第三調節池
 原風景の再現をはかり、サンクチュアリにすることは第二調節地と同様だが、ここでは沼杉という高木林がある特性を生かし、コウノトリの野生化を試みるなど、第二調節地とは違った視点で自然の再生を進める。 

第二調節池についての具体的なプランは次のとおりです。

(1)原風景の再現のために、次の方策を講じます。

  1. 第二調節池内の既存河川を結ぶ湿地保全水路を掘削し、第二調節池内に水路を張りめぐらせる。
  2. 第二調節池の中央部を流下する与良川の出口(第二排水門)の手前に小さい堰を設けて、第二調節池内の既存の河川、湿地保全水路の水深を一定程度維持する。堰の高さは可変とし、植物の生育や野鳥の生息の状況を見ながら、水位を変動させる。
  3. 与良川は、遊水池から約7キロメートル上流の地点で遮断され、その全流量が思川へ流れているので、第二調節池に入る流量はわずかなものになっている。そこで、思川に送られている流量の一部を与良川下流に流して第二調節池に導くようにする。
    これによって、第二調節池内の既存河川、および湿地保全水路の流量を一定以上確保する。
  4. 原風景にある小さい沼をいくつか再生する。沼には既存河川、湿地保全水路から水を導く。

(2)生物多様性の保全のために

表1,表2のとおり、植物、動物の多様化と保全をはかります。

表1 植物の多様化と保全のために
表2 動物の多様化と保全のために

(3)エコミュージアム・プランの実現方法と運営の主体

 どのような方法でエコミュージアム・プランを実現し、運営していくかは、これから検討すべき課題ですが、次の二点は必要です。

  1. 住民と行政が協働で構成するエコミュージアム・プラン実行委員会をつくる。実現後も住民・行政同数の運営委員会を設置し、委員会が企画・運営について決定権を持つ。
  2. エコミュージアム・プランの実現や運営は、原則として公費によって行う。

(4)具体案

 エコミュージアム・プランの具体案を図1〜3に示します。ただし、これはあくまでエコミュージアム・プランのイメージを持ってもらうための一案です。理念だけではなく、具体的な将来像を示すことによって、エコミュージアム・プランについての議論が活発に行われるようになると考えたからです。このプランが契機となって、遊水池の将来について徹底した議論が行われ、よりよいプランが作成されることを私たちは望んでいます。

図1 図2
 
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図3
第二調節池を西側より望む(イメージ図)   第二調節池を東側より望む(イメージ図)
バンの沼(イメージ図)   マガンの沼(イメージ図)
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